Dangerous Charms

個人の感想です

蟻プロジェクト「幻想庭園」

ようやく入手できましたわ…。

といっても買ったのは2001年にアリプロが自主通販した復刻盤ですが。これはまだFC通販で在庫があるんじゃなかったか?
オリジナルは1988年リリース。LPとCDでリリースされ、LPは激レア盤となっている。
CDはこの時代のアルバムにありがちな、消費税導入&品番変更により二種類存在する。

現在Amazonを検索して出てくるものは1996年に何かの企画で再発されたもののひとつで、何故かジャケットのロゴ等のデザインに手が加えられた謎仕様だが、ボーナストラックに「フラワーチャイルド」が入ってるのが大きかった。
この「フラワーチャイルド」はシングルとしてリリースされたものの、まだCDシングル登場前だったため7インチとカセットのみでの発売されCDとしては存在しておらず、聴くにはこの96年盤を入手するしか方法がなかったのだが、これもまたあまり出回らないうちに廃盤になってしまった激レアもんで事実上入手不可能…ちょっと再発が早すぎ。
2001年にZAZOU Recordsでようやく復刻されたものの未収録になったため、結局2012年の完全シングルコレクション「快恠奇奇」に入るまで幻のデビュー曲と化していたのだ。

それにしてもものすごいニューウェーブ臭。88年というのを考慮してもアングラだったんじゃなかろうか。
80年代に日本でも花開いたニューウェーブに、クラシックと和風を添加して更にねじくれましたとでも言いましょうか。
元々は片倉さん、グラムロックのバンドを組んでギターを弾いてたロック好きらしくニューウェーブは宝野さんの好みで、作風はそちらに寄せたという。
実際ニューウェーブの中にも洋楽に追従しながら和をネタにしてるものがありまして、これが今聴くと演歌?時代劇のサントラ?と言ったらおしまいなのも多かったりもする。
その中でも女優とかアイドルが片手間に出したような作品に結構面白いのが残ってたりするんだけど(藤真利子とか)、まあどちらにせよマニア向け。

その辺彼らはヒネたリズムとメロディとクラシックと暗黒メルヘンをぶち込むことで今聴いても何か新しいオリジナリティを獲得したと思う。
ニューウェーブで不思議ちゃんというとどうしても戸川純が思い浮かぶのだが彼女のやっていることは基本的にパンクなのだと思う。
(それゆえに初期衝動を優先し、一定のチープさが常に付きまとってしまう欠点もあるのだが)
アリカさんには、情念はあるが憤怒はなく、ひたすら内省的で少女趣味で、抑圧の解放よりも繭ごもりのごとく夢を見続けていたいと思うようなところがあり、片倉さんも音いじりの好きな職人肌の人である。
そこの違いがサブカル・バンドブーム的な支持は得られなかったが、後にアニソンでブレイクした理由となったのだろう。


幻想庭園 +1

幻想庭園 +1

↓こちらはFC限定販売の復刻盤
幻想庭園 | ZAZOU Records | 勇侠会ショップ